食からみた地域 <岩手>厳しい環境で花開いたおもてなしの食文化

岩手の郷土料理からは、その広大な面積から生まれた多様性と寒冷地ゆえに培われた人々の工夫が見えてきました。厳しさの中に楽しみをみつけ「おもてなし」を怠らない心意気とは。

県南はもち、県央は粉もの、県北はそば 厳しい風土が生んだ豊かな食文化

47都道府県中、北海道に次ぐ広さを誇る岩手県。四国がまるまる入ってしまいそうな面積だけに、県南、県央、県北(に加えて沿岸エリア)と、とれる作物や食文化も土地土地で実にさまざまです。

近年でこそ農業技術の進歩や品種改良などのたゆまぬ努力により、県北でも例年良質なお米がとれるようになった岩手県。しかし、そもそも県全域が豪雪地帯に指定されている寒冷地ゆえに、かつては毎年良質なお米がとれるとは限らなかったようで、大正時代や昭和初期でも、お米が満足にとれない年は雑穀ばかりを食べていたそうです。

また、昔は税をお米で納めていたため、たとえ良いお米がとれたとしても、お米はお上に納め、庶民は欠けたり変色したりしたお米や雑穀を食べざるをえませんでした。それが県南のもち食文化、県央の粉もの文化、そして県北のそば文化へつながったと言われています。

食物が乏しいながらも客人を満足させたい 岩手県人の心意気が垣間見える食卓

まず、一関市を中心とする県南エリアは伊達藩時代からの名残でもち食が盛んで、冠婚葬祭から日常の食卓にいたるまで多彩なもち食文化が発達しているのだとか。

一方、遠野・平泉・花巻を中心とする県央エリアでは、県南同様に水田地帯のため米食はもちろん、古くから(お上に徴収されないうえに)保存のきく小麦粉を練って作るひっつみ(すいとん)をはじめとした「粉もの」が愛されているそうです。

そして、太平洋側から吹き付ける「ヤマセ」による寒さゆえ稲作に不向きな県北エリアでは、そばをはじめとした寒さに強い雑穀による食文化が盛んで、おなじみの盛岡冷麺やわんこそばがその代表格と言われています。

厳しい環境ながらも、それぞれ豊かに花開いた岩手の食文化。村人や親戚が一堂に会する場でふるまわれる「おもてなし料理」の「餅本膳(もちのフルコース)」や「わんこそば」などは、食べ物が乏しいながらも「せめておなかいっぱい食べさせて客人を満足させたい」、そんな岩手県人の心意気の賜物といえるでしょう。

●取材協力、写真提供

  • 岩手県農林水産部農業普及技術課
  • 岩手県観光ポータルサイト いわての旅
  • 一関市もち食普及推進会議 祝い餅つき振舞隊
  • 岩手県生活研究グループ連絡協議会
  • 川口印刷工業株式会社
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