
塩漬けにしたニゴロブナをご飯に漬け込んで発酵させる鮒寿司に、幻の魚ともいわれるビワマスを炊き込んだアメノウオご飯。四方を鈴鹿山脈、比良山脈、伊吹山地、野坂山地といった山々に囲まれた滋賀県が、豊富な魚料理を誇るのは、日本最大の琵琶湖があってこそです。
琵琶湖に注ぐ120本ほどの川がもたらす上質な水と寒暖差が激しい気候によって、良いお米や野菜が獲れるほか、古くからそのお米を使った酒造りも盛ん。また、近年注目を浴びている近江牛も、米作りの労働力として飼われていた牛の牧畜文化のたまもの。
植物や動物を育んだ川の流れはやがて琵琶湖に注ぎ込み、そこに棲まう生命までをも育む。つまり、滋賀の魚料理の文化は、山から湖へと注ぐ上質な水が生んだ、命(米)と命(魚)のハーモニーなのです。

しかし近年、鮒寿司の素材となるニゴロブナが減っているのだそうです。これはブラックバスやブルーギルといった外来種の脅威もさることながら、小川(水路)や田んぼに遡って産卵するニゴロブナが、湖岸整備や圃場整備によって作られた堰によって、産卵場所までたどり着けないことにも原因があるとか。
そのため、近年では漁師が自主的に禁漁期間を定めたりしているほか、湖岸にヨシ帯を造成したり、魚が小川(水路)や田んぼへ産卵に戻れるような堰や用水路に魚道の整備をおこなっており、その甲斐あってか琵琶湖ではニゴロブナをはじめ魚が増えつつあるのだそうです。(詳細はこちらでもご紹介しています)
「ゆりかご水田」や「環境こだわり農業」。そんな琵琶湖を守る取り組みは、琵琶湖の恩恵を受けて生きてきた滋賀県民による、琵琶湖への感謝と恩返しと言えるでしょう。「湖国」滋賀が誇る食文化は、これからもそこにあり続けます。
●取材協力
- 滋賀県農政水産部 農業経営課 農産ブランド推進室
- びわこビジターズビューロー